Advantage

日本最大のGPO

NHAは、全国の急性期病院332病院(2023年4月現在)が設立母体を超えて加盟する、日本で最大の共同購入組織です。「病院による病院のための共同購入」を理念に掲げ、加盟病院の経営改善と医療の質の向上に資することを目的としています。

NHAは医療材料にとどまらず幅広い分野で共同購入を推進しています。また、発足当時から米国大手GPOのPremier社の支援を受け、Premier社の知見やノウハウを生かし、わが国の実情に即した共同購入に取り組んでいます。

経営主体 病床数 加盟病院数
市町村立 20,683 47
医療法人 9,865 51
都道府県立 15,888 35
日本赤十字社 17,839 36
国家公務員共済組合連合会 10,052 29
国立病院機構 10,389 21
地方独立行政法人 9,598 20
労働者健康安全機構 6,131 15
社会医療法人 4,109 13
私立学校法人 6,384 11
地域医療機能推進機構 1,813 6
恩賜財団済生会 2,353 7
経営主体 病床数 加盟病院数
厚生連 2,259 7
企業立 2,562 7
公立学校共済組合 1,652 5
社会福祉法人 1,979 5
公益社団法人 1,368 4
一般財団法人 1,995 6
国立大学法人 2,875 4
特定医療法人 593 2
医療生活協同組合 312 1
総計 130,699 332
2023年4月現在

中立であること

共同購入は、あらゆる企業から中立であることが求められます。病院の立場に立った選定と全ての病院に恩恵をもたらす条件を追求するため、NHAは、あらゆるサプライヤー、卸業者、関連企業、また、あらゆる病院や病院グループから中立です。

NHAは、事務局業務をエム・シー・ヘルスケア株式会社(MCH)、株式会社FSユニマネジメント(FSユニ)に委託していますが、両社から独立した立場で活動しています。共同購入事業の運営や商品・サービスの選定において、両社および関連企業の影響を受けることはありません。
また両社には厳重な守秘義務を課し、共同購入に関連する病院のデータや情報、あるいはサプライヤーから提供されるデータや情報が漏えいしたり、転用されることはありません。

How GPO Works

NHA共同購入の仕組み

図:NHA共同購入の仕組み

NHAは、「経営コストの削減は全ての病院に共通する優先課題の一つ」という認識に立ち、母体を超えた「病院による病院のための共同購入」によって、病院の継続的な経営コスト削減に貢献することを目的としています。

加盟病院の購買データや経験とエビデンス(価格・数量・シェア・品質)に基づきサプライヤーと直接交渉を行い、幅広い領域で、購買量に応じた戦略的な購買条件を獲得します。加盟病院が増え購買量が増えるほど、サプライヤーからより良い条件を得ることが可能となります。

NHAの運営主体は加盟病院です。NHAの運営に係る意思決定は、加盟病院を代表する理事会が行います。共同購入する商品やサービスの選定と条件は、病院が派遣する委員による専門委員会で決められます。専門委員会では、参加委員の3分の2の同意と全病院に経済的な恩恵があることを前提に、使用現場の立場から選定を行います。

NHA共同購入のメリット

共同交渉は…

母体を同じくする病院が、グループ病院全体の購入量を背景として、サプライヤーと交渉する「共同交渉」が行われることがあります。サプライヤーはグループ病院内でのシェア上昇を期待して値引き条件を提案しますが、実際には既存品(既に選定品を採用している病院)に値引きが適用される一方、他社品から選定品への切り替えが進まず、十分な経済効果が得られないケースが多いようです。サプライヤーのメリットも限定され、次年度以降のサプライヤーの提案が後退することにもなりかねません。「共同交渉」では、経済効果の確保と継続性に課題があると考えられます。

図:共同交渉

共同購入は…

「共同購入」は、加盟病院とサプライヤーのWin-Winの関係を前提としています。病院は、共同購入の選定品の購買量を増やすことで、サプライヤーから通常では得られない値引きを得る仕組みです。「共同購入」では、選定品の説明、使用現場への採用働き掛け、製品評価支援、採用の進捗管理、選定メーカーとの連携、結果に応じた成果の還元など、病院への事務局の活動が重要な役割を持ち、病院の当事者意識と相まって、高い経済効果を継続的に上げることが可能となります。

図:共同購入

NHAの値上げ対応について

2022年度来、原油高・輸送料・原材料等の価格高騰や円安により、メーカー各社は値上げをしています。NHAでは全てのメーカーに値上げの根拠を確認する一方、値上げ要因となる各種相場の推移をモニターし、値上げの幅が適正であるか確認、相場の好転に応じ臨機にメーカーに価格の値下げを求めることとしています。

患者行動の変化

2023年5月より、新型コロナウィルス感染症が5類に移行されました。新型コロナウィルスによる患者行動の変化は、病院の収益構造にも影響すると思われますが、病院は更に経費コントロールをしていく必要があります。NHAの1病院あたりの平均成果額は4,000万円で、経済効果が大きく、医療の質を下げずに、コスト削減に取り組むことができます。また、コスト削減の他に、共同事業にも取組んでおり、加盟病院間の知見や情報を共有することで、病院の経営や運営の改善に役立てることができます。

Cost Reduction

病院ごとのコスト削減の事例

ここでは、NHA加盟病院のコスト削減の事例をご紹介します。
共同購入では、病院は、より多くの分野に参加すること、参加分野で選定品をより多く使うことで、大きな経済効果を実現できます。
また、「病院による病院のための共同購入」は加盟病院が自らのコスト削減のためにNHAの共同購入を推進する「当事者意識」を持ち、共同購入事業へ主体的に取り組むことが必要です。

(単位:千円)
分野 成果額
A病院
300床規模
B病院
400床規模
C病院
500床規模
D病院
600床以上
汎用医療材料 31,536 31,051 36,906 50,146
ME・透析関連 3,809 8,656 11,223 37,385
手術室関連 6,246 6,685 13,436 10,535
病院運営管理 1,293 2,273 2,287 521
心臓血管外科 143 131
循環器虚血 1,689 10,654 18,127 7,986
循環器不整脈 15,613 231 12,471 10,810
EVT 3,641 1,028
整形外科 9,946 3,231
眼科 6,503 1,771 74
医薬品 792 1,072 2,012
臨床検査 349 746 105
合計 60,535 81,178 98,569 122,831

Fields

取り組み分野・取り組み分類数

カテゴリー 分野 分類数
医療材料 汎用医療材料 131
ME・透析関連 52
手術室関連 62
消化器内視鏡 15
心臓血管外科 8
循環器虚血 8
循環器不整脈 20
EVT 5
整形外科 15
眼科 1
分野 内容
経営層 病院経営に関わる知見の共有
カテゴリー 分野 分類数
医療材料以外 病院運営管理 28
医療機器 39
医薬品 59
臨床検査 20
2023年4月現在

Award Process

選定プロセス

1 共同購入候補品の洗い出しと分析
  1. 購入量、購入額の多い品目を参加病院データから抽出し、共同購入候補品として委員会へ提案(この例では輸液セット)

    分類名 特定保険医療材料名 購入金額合計 *上位50分類での構成比 NHA対応委員会
    輸液セット
    一般,定量
    保険請求不可 459,647,734 1.78% 汎用医療材料
    ※NHA参加病院使用材料の上位50分類の購入額に占める当該分類の比率
  2. 参加病院の既採用品に対応する製品のマッチングリスト(同種品リスト)の作成と分析
    参加病院の同じ用途の製品の購入状況を分析し、メーカーを洗い出す。
  3. 医療材料については、MRPのベンチマーク等のデータベースを参考にしてデータ分析、交渉し、選定。
2 委員会への候補品提案と承認
  • 候補品のデータ(同種同効品特定、全サプライヤー特定、加盟病院内サプライヤーシェア・サプライヤー別購入量/購入額・購入価格帯等)の取りまとめ
  • 取りまとめデータに基づき委員会へ候補品の選定審議を提案、承認を得る
3 サプライヤーへの参加呼び掛け
  • 対象品の購入状況のデータを示し、関係サプライヤーに参加を要請する。
  • 各サプライヤーに共同購入条件の提案を求める

    輸液セット購入状況
    メーカー名 年間購入量 年間購入額 シェア
    (数量ベース)
    B社 9,346,848 277,725,040 60.4%
    D社 3,344,200 99,366,982 21.6%
    A社 1,968,888 58,501,021 12.7%
    C社 809,528 24,503,691 5.2%
    総計 15,469,464 459,647,734 100.0%
4 サプライヤーおよび製品評価
  1. サプライヤーの企業情報を評価する。
    医療機器を製造販売するにあたり安全面に注意を払っているか、回収等の対応、新製品開発に対する取り組み等を積極的に展開しているか、共同購入に対する提案評価、安定的な商品供給が可能かどうかを評価する。
  2. 製品の評価
    共同購入は参加病院が共同購入品をより多く採用することを前提としているため、選定にあたっては、製品の品質、使い勝手、採用性を確保することが重要となる。そのため参加病院の協力を得て対象製品の製品評価を積極的に行っている。この評価が低ければ価格が安くても採用されない。

    輸液セットの製品評価(例)
    検証項目 A社 B社 C社 D社
    項目 チェックポイント 評価ポイント
    評価はA=3、B=1、C=-1で行い、各社評価は評価病院の合計を数値化して表示
    評価点 評価点 評価点 評価点
    素材 安全・感染対策を考慮した素材か
    • PVCフリー>DEHPフリー>PVC
      今回サンプルは現行の使用品と同一スペック。
    • 素材の違いでチューブの柔らかさ、使い勝手はどうか
    2.00 2.00 -1.00 2.50
    接続 操作の容易性、使用感
    • 差込タイプでは、外れてしまうため、
      接続部はロックタイプが推奨されている
    • 接続時の操作性はどうか
    2.08 3.00 -1.00 1.67
    耐久性
    • 圧のかけ方や閉め方で、壊れたり、外せなくなるものがあるが、
      今回サンプル品の耐久性はどうか
    1.54 2.00 -1.00 1.50
    ルート規格 長さ
    • 安全面からみても、患者さんが動きやすいような適度な長さはほしい。
      今回サンプル長さはどうか
    • 長さのサイズバリエーションが豊富かどうか
    0.88 2.00 -1.00 2.67
    形状
    • 一体型もしくはクローズドタイプが望ましいが、
      今回サンプル品の評価は
    1.29 2.00 1.00 1.50
    気泡の有無
    • ルート内に気泡ができにくいか
    1.00 3.00 -1.00 1.33
    クレンメ 耐久性
    • すぐに壊れないもの。なかには何度も調整していると、
      調整不能なってしまうものがある。
    2.00 3.00 1.00 2.50
    操作の容易性、使用感
    • 操作が容易で、微量な調整も可能か、
      ルートの柔らかさは適度か
    1.81 3.00 1.00 1.80
    ピン針 挿入のしやすさ
    • 輸液ボトル等に刺しやすい形状になっているか
    • 先端が鋭利過ぎないか
    1.46 3.00 -1.00 2.00
    製品表示
    • 取り違いを防ぐような表示がされているか
    0.91 3.00 1.00 1.33
    製品表示
    • 製品規格、製品番号等が明確に表示されているか
    3.00 3.00 1.00 3.00
    製品表示
    • バーコード表示等製品識別アイテムが表示されているか
    3.00 3.00 1.00 3.00
    現採用品との比較
    • 現在使用している製品との比較評価
      使用不可能かどうか回答ください。
    1.70 3.00 -1.00 2.00
    総合平均点 1.74 2.69 -0.08 2.06
5 経済性の評価
  • 各サプライヤーの提案条件を取りまとめる。加盟病院の購入価格帯に基づき、必要に応じサプライヤーと再交渉し条件を整える
  • 共同購入統一価格による経済効果と購入量やシェア拡大による追加値引き(割戻)による経済効果に分けて各社の条件をまとめる

    サプライヤーからの提案条件のまとめ(例)
    輸液セット提案比較
    分類 サプライヤー/現行シェア A社
    (12.74%)
    B社
    (60.4%)
    C社
    (5.2%)
    D社
    (21.65%)
    輸液セット
    年間購入額
    459,647千円
    提案内容
    統一価格設定による削減予測 68,947,050円 45,964,700円 59,754,205円 82,736,592円
    統一価格設定による値上げ予測 -3,938,088円 -5,362,186円 -615,188円 -4,588,700円
    割戻条件 シェア(購入数量ベース)
    20%~30%未満⇒購入総額の2%
    30%~40%未満⇒購入総額の4%
    40%~50%未満⇒購入総額の6%
    シェア(購入数量ベース)
    60%~70%未満⇒購入総額の1%
    70%~80%未満⇒購入総額の2%
    80%以上~⇒購入総額の3%
    シェア(購入数量ベース)
    15%~25%未満⇒購入総額の2%26%~35%未満⇒購入総額の4%
    35%~45%未満⇒購入総額の6%
    50%以上 ⇒購入総額の8%
    シェア(購入数量ベース)
    20%~30%未満⇒購入総額の5%
    30%~40%未満⇒購入総額の7%
    40%~50%未満⇒購入総額の9%
    割戻額予想 シェア50%達成の場合 4,596,470円
    シェア70%達成の場合 19,305,174円
    シェア100%達成の場合 27,578,820円
    シェア50%達成の場合 0円
    シェア70%達成の場合 4,596,470円
    シェア100%達成の場合 13,789,410円
    シェア50%達成の場合 4,596,470円
    シェア70%達成の場合 19,305,174円
    シェア100%達成の場合 27,578,820円
    シェア50%達成の場合 11,491,175円
    シェア70%達成の場合 22,522,703円
    シェア100%達成の場合 41,368,230円
    トータル年間削減予測(100%切替試算)
    (割戻額+統一価格による年間削減予測)
    96,525,870円 54,391,924円 86,717,837円 124,104,822円
    製品の機能・品質・安全対策等評価点 1.74 2.69 -0.08 2.06
    評価はA=3、B=1、C=-1で行い、
    各社評価は評価病院の合計の平均を数値化して表示
    価格評価と製品評価を合わせて評価した際の順位 2 4 3 1
    特記事項 ・値上げ補償あり
    ・契約期間3年間
    ・値上げ補償なし(自社製品のみ補償)
    ・契約期間3年
    ・値上げ補償なし(自社製品のみ補償)
    ・契約期間3年
    ・値上げ補償あり
    ・契約期間2年

    原則として参加全病院にとって値上げにならない条件のサプライヤーを選定する(共同購入条件を下回る陥没価格で購入している病院には、選定サプライヤーの値上げ補償を求める)。上記例では「値上げ補償なし」のB社·C社は選定されず、企業評価に問題なく、製品評価と経済効果のトータルで評価が良かったD社が選定された。
6 委員会での選定審議
  • 4と5の報告書に基づき、経済効果、品質、採用性を中心に審議し選定する
  • 選定候補品の実物も用意し委員が確認する
  • 参加委員の3分の2の合意で選定する。3分の2の合意が得られない場合は、継続審議または非選定とする
7 参加病院への連絡
  • 選定結果を選定品リリース資料にまとめ事務局の各地事務所から参加病院へ説明(選定理由、条件、当該病院の経済効果、製品説明等)
8 病院での選定品の採用
  • (選定品が既に当該病院で使われている場合は、そのまま条件適用され経済効果となる)
  • 選定品の院内でのサンプルテストによる評価を行う
  • 院内の材料委員会へ経済効果試算と製品評価結果に基づき提案する
  • 加盟病院は、共同購入の全体効果を上げるため一定以上の採用率を求められる(100%の切り替えが求められるわけではない)。事務局は各病院の採用状況をモニターし必要に応じ採用促進を働きかける
  • 製品の技術的な問題やサプライヤーのサポートの問題等があれば、NHA からサプライヤーに改善を申し入れる